第五幕……蹴りたいいーちゃん 台本

※台本をそのまま掲載しております。

いー01「あー疲れた……」
 人付き合いと言う物がある。
 人付き合いと言う物は時に不可抗力である。
「危うく酒飲まされそうになった……あの連中妙に濃いよなあ」
 強制連行された居酒屋での事を思い出して、ちょっと口から色々な物が出そうになった。
「飲み込みます」
(遠くからみいこさんと鈴無さんの会話
浅野01「お前はいつもそうだ」
鈴無01「あによ、アンタこそ少しは自分の信念曲げたらどう?」)
いー02「あ、鈴無さん来てるのか」
 みいこさんの部屋の前を通ったら、もれでる鈴無さんの声、
 挨拶しようと思ったが、うっかりそのまま素通りして自分の部屋へ来てしまった。
 鈴無さんは会えば説教二に説教、三四無くて五に説教。
 それは寧ろ好きだけど、今は疲れた。
 今の時間は、深夜二時。
「うん、常識的に考えて、泊まるんだろーし、明日挨拶すればいいや」
 成るべく、忍び足で部屋へ。
<ガチャッ(扉に手をかける音)>
<タン(足音)>
鈴無02「ご挨拶ね、いのすけ」
いー03「……ごきげんようです、鈴無さん」
 ぼくの足音、しなかったよな?
鈴無03「私に挨拶無しで此処を通ろう何て、神様が許しても美少女は飛び蹴りするわよ?」
いー04「アンタ何教だよ!」
鈴無04「ん?」
いー05「……あの、すいません」
鈴無05「分かればいいの。挨拶はねえ、しない奴は人間じゃないのよ。人間がどれだけ挨拶に頼ってコミュニケートしてると思ってんの?」
いー06「すいません……」
鈴無06「それも謝罪の挨拶だわね。……ま、いいわ。こんな所で話たって他の人が起きちゃうもの」
いー07「そうですね……」

一姫01「泥棒ー!!」
いー08「え?うわあああああ!!」
<ドゴオッ>
<仕事をサボって麻雀タイム.wav>
一姫02「天誅ー!……ってあれ、師匠じゃねーですか。なにやってるんですか、もう……ふぁあーるっさいですよー。姫ちゃんの安眠を邪魔しないで下さいよー」
いー09「ねえ、ぼくより鈴無さんの方が五月蝿かった気がするんだけど」
一姫03「さざなみさん?知りませんようー師匠人の所為にするなんて最低だー」
鈴無07「最もだわね」
いー10「ちょっと!!何同意してるんですか鈴無さん!」
鈴無08「美少女が言ってるのよ。観念なさいよ」
一姫04「そうですそうです。師匠ったらきゃっ美少女だなんてー。まあ許してあげますー。しかし師匠ったらでっかくなりましたね。何か黒いしー。子供の成長は駿って聞きますけど、ここまでとは…」
いー11「姫ちゃん、それ師匠じゃない。後駿って有名監督」
一姫05「ふえ?……うええええええ!知らない人が!知らない人が!」
鈴無09「今日は美少女。私は鈴無音々って言うの。鈴の無い音の繰り返し。美少女、お名前は?」
一姫06「え、姫ちゃんは紫木一姫二太郎三男四男長女次女と言う大家族で」
いー12「眠いんだろう、姫ちゃん」
一姫07「はう、ふああ〜」
いー「鈴無さんは明日も居るから挨拶は起きてからしな。起こしちゃって悪かったね。
 あの、鈴無さん。姫ちゃん寝かせてきます」
鈴無10「じゃ、終わったら浅野の部屋に来なさい。分かった?逃げようなんて考えちゃ駄目よ」
いー13「はい……ほら、姫ちゃん着いてきて、しっかり歩いて」

<階段を降りる音>

一姫08「ういっす師匠……ふーあー」

<ガタッ>

「ってうきゃあああああああ!!?」
いー14「え?ひ、姫ちゃーん!!」
 ぼくの後ろを歩いていた姫ちゃんが、階段で足を滑らせた。
<ドゴッ>
「げふっ!姫ちゃん…飛び蹴り……」
 モロに足が入る。
 姫ちゃんは、ぼくを飛び越して華麗に着地した。
一姫09「やああん!!師匠、姫ちゃんの、見ました!?」
いー15「見てな…それ所、じゃ、げふっ」
 無様に頭から着地したぼく。

鈴無11「ほうら、ご覧。私の忠告はちゃんと聞いておく事よ」
いー16 上から、鈴無さんのにやにやとした、笑い声、が……。

一姫10「あれ?ししょ、師匠ー!!」


いー17 ブラックアウト。