第二幕……視覚の死角 台本

※台本をそのまま掲載しております。

<BGM ヘヴィー狸>
崩子01「お兄ちゃんは本当に病院が好きなんですね」
いー01「そんな僕を病院マニアみたいに言わないでよ…」
崩子02「でも実際家より快適でしょう?私が世話しに来ますし」
いー02「あのね」
崩子03「それに、お兄ちゃんはもう病院のプロ、病院マスターと言っても過言では無い程に病院に精通してます。この間私に病院を案内して下さったときに驚きました」
いー03「あのね崩子ちゃん。病院って三日も居れば飽きるんだよ。点滴してても歩き回りたくなるんだよ。変哲無いだろ、この病院って箱は。だからついつい変化を求めて歩き回ってしまうんだ」
崩子04「そして無駄に詳しくなったと?」
いー04「霊安室の場所まで知ってるよ…」
崩子05「矢張りお兄ちゃんは病院マニアです。きっとこの病院の誰よりも詳しいに違いありませんね」
いー05「いやいや。それは無いと思うよ、ほら、そこの看護婦さん何てもう暇で暇で仕事ほっぽり出してぼくの病室に来てる位だからきっと最初に配属された日にこの病院を隅から隅まで歩き回って抜け道とか知ってると思うな」
形梨01「凄いだろ」
いー06「褒めてません。
 所でらぶみさは職務をサボッて一体何をやっていらっしゃいますのでしょうか」
形梨02「それはね、何時いーいーが脱走してもいいように見張っているのです。ぶい」
いー07「はあ。そう言う無駄な事してないで検温の時間じゃないんですかね」
形梨03「ああ、それは新人入ったから放ってきた。今頃ひいひい言ってるだろうね」
いー08「鬼か!」
崩子06「…お仕事はされた方がいいと思いますけど」
形梨04「やーん萌えっ子!萌えっ子に言わせるとはいーいーもやりますな。でもね萌えっ子、人には仕事よりも大事な事があるの。そう、例えば」
いー09「例えば?」
形梨05「……んー」
いー10「……早くしてください」
形梨06「…いーいー、例えば何だと思う?」
いー11「聞くなよ!!
……で、らぶみさん本当に何してるんです?」
形梨07「サボってる」
いー12「堂々と罪を告白しないで下さい。じゃなくて、もっとこう、具体的に」
形梨08「人生でしていることはただ年を取ることだけ」
いー13「抽象的になったー!!いや、らぶみさん、本当何してるんですか」
形梨09「見てわからない?」
いー14「はあ。じゃあぼくらが見たままの事を伝えましょうか。」
崩子07「……彼女は編み針を持ってセーターを手にしている。編みあがったセーターに編み針って、凄くいらないと思うんですけれど」
いー15「夏に編み物しないで下さいよ。…編み物するかも分からないですけど」
形梨10「うん、実はね。私には思い人が居るのです。そんで、この既製品のセーターに私好みのワッペンをつけたしてあたかも私が編んだかの様にし、プレゼントすると言う軽やかで素敵で乙女チックな企画を計画したのですが」
崩子08「編み針いらないですねそれ。」
いー16「崩子ちゃん、そう言う人の事を何て言うか知ってるかい?」
崩子09「何でしょう」
いー17「うましか」
崩子10「…馬と鹿がどうしたのでしょうか」
いー18「…あれ、通じない?ん、いや、馬鹿って伝えたかったんだけど。崩子ちゃん、ばかって漢字分かる?」
崩子11「草冠ですよね」
いー19「あー…。いや、そっちか。うん、じゃあいいや…」
形梨11「私をスルーしないで下さい」
いー20「だって、もう話が完結してるじゃないですか。はいそうですかとしか言い様がありません。」
形梨12「だからですねー!この編み針はですねー!あのですねー!!」
いー21「はあ。言ってみて下さい。聞いて差し上げますから」
形梨13「…………格好付けです」
いー22「白状しましたね。ついに。ついについに。はいはいもう格好付けだって事は<14行>秒前の会話で明らかになっていますからやっぱり言わなくて良かったです。はいはいらぶみさんの行動に一々意味何て無かった事何て入院したその日から知っていましたよ」
形梨14「何ィ!?その日だとう!」
いー23「入院したその日の一時間後に」
形梨15「何ィ!?一時間後だとう!?」
いー24「繰り返さなくていいです」
崩子12「さて、お兄ちゃん。そろそろ私帰りますね。萌太に会いに行きますので」
いー25「ああ、バイト先寄ってくんだ。何で?」
崩子13「お弁当を届けるのです。おにぎりを握ったので。萌太が朝寝坊した所為で、渡せなかったんですよ」
いー26「ふうん。そっか。いってらっしゃい」
崩子14「ええ、又帰り寄らせて頂きます」
いー27「うん。」
形梨16「ばいばーい萌えっ子!ツンデレ!キャー今をトキメクらぶみさーん!!ツンデレとは中々タイムリーな話題を出しますな!!」
ピシャッ
いー28「らぶみさん、崩子ちゃんはツンツンしたくてしてるんじゃなくて、貴方に威嚇してるんです。気づきましょう」
形梨17「むふー!」
いー29「人間外にならないでください。後ツンデレってブーム過ぎましたよ」
形梨18「私の心のブームナンダヨ」
いー30「へえ、そうですか」
形梨19「……さて、よしできたっと」
いー31「ん、ワッペンつけたんですね。……所でらぶみさんの思い人って誰です?」
形梨20「あーうん、知りたい?」
いー32「いえあんまり。ただその人が可哀想なので忠告してあげようかなと思って。まあ、らぶみさんに好かれる何て人生終わったようなもんですよね。はっはっは」
形梨21「まあ、元から人生が終わってるようなヤツですよ。ええとね、特徴は目が死んでる」
いー33「死んでるんですか」
形梨22「次に背が低い」
いー34「へー。らぶみさん童顔趣味ですか」
形梨23「それで、言い訳の鬼と呼ばれた伝説を持っている。言い訳の鬼が事件はムーンライト伝説と呼ばれていて」
いー35「今時の子供はセーラームーン分かりませんよ」
形梨24「そして、足を骨折している」
いー36「何だか親身に感じますね」
崩子15「所でお兄ちゃん」
いー「うわお崩子ちゃん気配を消して入ってこないで!」
崩子16「言い忘れましたが」
いー37「うん、何?」
崩子17「そのセーター、昨年お兄ちゃんが着ていた物です」
いー38「……」
崩子18「お気づきになられていなかったようですので、ご忠告までに。それではごきげんよう」
いー39「…らぶみさん」
形梨26「何だいいーいー。あ、そのセーターあげるね。私こんなダッサイのいらない」
いー40「……返せ」
形梨27「今の今まで気づかなかった人が何を言ってるのかねー。これ雑巾にするとかっくいーと思うんだけど」
いー41「人の衣服を勝手に盗まないで下さい!!何で大体冬物をらぶみさんが持ってるんですか!?」
形梨28「それはねーあのプリチィガアルが此処に暖房が無い事を心配して夜は冷えるからと持ってきてくれたのでぃす」
いー42「崩子ちゃんぼくんちの鍵預けてたっけ!?」
形梨27「にんにん」
いー43「いやらぶみさんにんにんって!忍者なら鍵が開けられるみたいに言うな!!」
形梨29「で、いーいー」
いー44「何ですか」
形梨30「さっきの思い人の続きだけど」
いー45「はあ」
形梨31「私、思い人は思い人でも、何となく重苦しそうな顔していじらしい人の略だから、勘違いしちゃやーよ。さーて仕事に戻るかなーばーいにー」
いー46「……ばーいにー」
形梨32「あーあいーいーの相手は疲れたにゃー!」
いー47「こっちの台詞だこのクサレ看護婦!」